植物栽培の基本を植物生理学と土壌学の視点で見てみる

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植物を育てていると、なぜかうまく育たないという経験をしたことがある方は多いと思います。
あるいは、しっかりと本やネットに書いてある通りにやったのに、枯れてしまった。なんてことも。

結局、何がいけなかったのかわからない――。

今回は、かれこれ園芸歴15年以上のわたくしが、植物生理学と土壌学の知識を軸に経験を交えながら、そういったお悩みを解決できるかもしれない記事を書いていきます。

あまり触れられない植物栽培の基本のなかにある原理原則を知ることで、植物栽培を立体的に見られるようになり、園芸をもっと楽しんでいただけるはずです。

目次

植物が生育するために必要な条件


本題に入る前に、少し前提を整理します。

植物の知識として比較的よく知られているのが、三大栄養素光合成の三要素です。三大栄養素とは、窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)のことです。肥料のパッケージに「N-P-K」と書かれているのを見たことがある方もいるかもしれません。光合成の三要素は、水・光・二酸化炭素です。これらは植物生理学の教科書にも載っている話で、園芸の本でもたまに目にします。

では、植物栽培の三要素はなんでしょうか。

これは完全に私の経験則からくる話なのですが、光・水・風通しだと思っています。三大栄養素でも、光合成の三要素でもない。あくまで「栽培する」という実践の場で、植物の生死を左右する三つの条件。

これまでに結構さまざまな植物を育ててきたのですが、その中で気づいたのは、このどれか一つが欠けるだけで、植物はほぼ確実に枯れていくということです。逆に言えば、この三つさえ満たせていれば、多少の失敗はリカバリーできることが多い。それくらい、根本的な条件だと感じていました。

光と水については、なんとなく納得感があるかもしれません。でも、風通しはどうでしょうか?
なんとなく「蒸れると病気になりやすい」くらいのイメージで、あまり深く考えたことがない方も多いのではないでしょうか。

実はこの風通しこそ、見落とされがちな重要な条件だと私は思っています。
しかも、風通しが必要なのは葉や茎といった地上部だけではありません。土の中にある根も、風通し(通気性)を必要としているのです。

では、次のセクションから順番に、光・水・風通しの三つについて、「なぜそれがないと枯れるのか」を植物生理学と土壌学の視点から一つずつひも解いていきます。原理がわかると、植物の状態を見る目が変わります。
そして、「なんとなくうまくいかない」が「なるほど、だからか」に変わる瞬間が、きっと見えてきます。

光がないと、なぜ枯れるのか


「光がないと植物は育たない」。これは多くの方が知っていることです。
でも、「なぜ?」と聞かれると、「光合成ができないから」で止まってしまうことが多いのではないでしょうか。では、光合成ができないと、具体的に何が起きるのか。そこを掘り下げてみます。

光合成は「工場」である

植物は光を使って、水と二酸化炭素からグルコース(糖)をつくります。これが光合成です。もう少し踏み込むと、光合成は大きく二つの段階に分かれています。

一つ目は、葉の細胞内にあるチラコイド膜という場所で起きる光化学反応です。ここでは光エネルギーを使って水を分解し、ATP(アデノシン三リン酸)とNADPH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)という二種類のエネルギー物質をつくります。ATPは細胞が直接使えるエネルギーの通貨のようなもので、あらゆる生命活動の燃料になります。

二つ目は、同じく葉緑体の中にあるストロマという場所で起きるカルビン回路です。ここでは、一つ目でつくったATPとNADPHを使って、空気中の二酸化炭素を固定し、最終的にグルコースをつくり出します。

つまり光合成とは、光エネルギーを化学エネルギー(グルコース)に変換する、植物にとっての「製造工場」なのです。

光がないと、工場が止まる

問題は、植物が光合成だけをして生きているわけではない、という点です。植物も動物と同じように、常に呼吸をしています。呼吸とは、グルコースを分解してATPを取り出す反応のことです。光合成が「エネルギーをつくる」プロセスなら、呼吸は「エネルギーを使う」プロセスです。そして呼吸は、昼も夜も、光があってもなくても、止まることなく続いています。

光が十分にある状態では、光合成によるグルコースの生産量が、呼吸による消費量を上回ります。植物は余ったエネルギーを成長や繁殖に使えます。

ところが光が不足すると、生産が消費を下回ることになります。植物は貯蔵していたデンプンなどを切り崩してエネルギーを補おうとしますが、それにも限界があります。やがて貯蔵分も尽き、細胞を維持するためのエネルギーすら確保できなくなってしまいます。これが、光不足で植物が枯れるという現象の正体です。

光補償点と光飽和点

ここで二つの概念を紹介しておきます。

光補償点とは、光合成による生産量と呼吸による消費量がちょうど釣り合う光の強さのことです。これを下回る環境に植物を置き続けると、エネルギーの収支がマイナスになり、じわじわと消耗していきます。「日陰でも育つ」とされる植物は、この光補償点が低い、つまり弱い光でも収支をプラスにできるということです。

光飽和点は逆に、それ以上光を強くしても光合成の速度がもう上がらないという上限値です。光合成の速度はある点を超えると、光の量ではなく酵素の働きが律速(ボトルネック)になるためです。「明るければ明るいほどいい」は必ずしも正しくなく、植物によって「ちょうどいい光の強さ」には幅があります。

光不足のサインとして現れる「徒長」

光が足りないとき、植物はもう一つ特徴的な反応を示します。それが徒長です。光を求めて茎を急激に伸ばし、葉と葉の間隔(節間)が間延びした状態になります。見た目には「成長している」ように見えますが、実際は細胞壁が薄く、茎が軟弱になっているサインです。エネルギー不足の中で無理に伸びているため、病害虫への抵抗力も落ちます。
また、軟弱であるために自身の重さを支えることができず、倒れたり折れたりもします。

徒長が始まったら、それは植物からの「光が足りない」というサインだと受け取ってください。

水がないと、なぜ枯れるのか


光の次は水です。「水がなければ枯れる」は、感覚的にも納得しやすい話かもしれません。私たちも水がなければ生きていけませんので、本質は同じです。
でも、これも光のように「なぜ?」を丁寧に見ていくと、水が植物にとっていかに多くの役割をこなしているかがわかります。

水は植物の中で三つの顔を持つ

まず、水が植物の中でどんな役割を果たしているかを整理します。大きく分けると、三つあります。

一つ目は、光合成の原料です。 光のところでふれた光合成の化学反応を思い出してください。チラコイド膜で光エネルギーを使って水を分解し、ATPとNADPHをつくる――あの反応の出発点が水です。水が分解されることで電子と水素イオンが供給され、光合成のエネルギー変換が動き出します。同時に、この分解の副産物として酸素が発生します。私たちが呼吸している酸素の起源の一つが、植物の光合成で水が分解されたときに出たものだ、というのはなかなか感慨深い話です。

二つ目は、栄養素を運ぶ溶媒としての役割です。 植物が根から吸収する窒素やリン酸・カリウムなどのミネラルは、イオンの形で水に溶けた状態で吸収されます。そして道管と呼ばれる管を通じて、根から茎、葉へと水とともに運ばれます。水がなければ、栄養素は根のまわりにあっても吸収も輸送もできません。肥料をしっかり与えているのに調子が悪い、という場合、実は水分不足で栄養が届いていない、というケースも起こりえます。

三つ目は、膨圧(ターゴル圧)の維持です。 植物の細胞は水を吸収することで内側から膨らみ、細胞壁を押す圧力が生まれます。これが膨圧です。植物が茎をぴんと立て、葉を広げていられるのは、この膨圧があるからです。骨格を持たない植物にとって、水は構造を支える「内側からの骨組み」とも言えます。

その他にもたとえば、蒸散による気化熱を使って葉の温度を下げるという体温調節の役割も担っていたりもします。真夏の強い日差しの下でも葉が極端な高温にならずに済むのは、この蒸散冷却のおかげです。

水が足りなくなると、何が起きるか

水分が不足すると、植物はまず気孔を閉じるという防御反応をとります。気孔とは葉の裏側に無数にある小さな穴のことで、蒸散と同時に二酸化炭素の取り込み口にもなっています。水分不足を感知すると、植物体内でアブシジン酸(ABA)というホルモンが生成され、気孔を取り囲む孔辺細胞に作用して気孔を閉じます。

これは水の損失を防ぐための合理的な反応です。ところが、気孔が閉じると二酸化炭素も入ってこなくなります。するとカルビン回路が止まり、光合成全体が停止してしまいます。
光はあっても、水がなければ光合成は動かず、光・水・二酸化炭素の三つがそろわなければ成立しない、ということがここでよくわかります。

水不足が続くとさらに膨圧が下がり、細胞が萎んでいきます。これが萎れ(しおれ、wilting)という状態です。葉や茎がしなしなになるのは、内側から支えていた水圧が失われたサインです。この段階ではまだ水を与えれば回復する場合もありますが、細胞レベルの損傷が進むとやがて元に戻らなくなります。

「水のやりすぎ」でも枯れるのはなぜか

ここで少し意外に思われるかもしれない話をします。水不足で枯れるのはわかった。では、水をたっぷり与えれば安心かというと、そうではありません。水のやりすぎでも、植物は枯れます。

それは、なぜか。

鍵は根にあります。
根は土の中で生きていますが、細胞が生きている以上、呼吸をしてエネルギーを得る必要があります。そして呼吸には酸素が必要です。通常の土壌には、固体(土の粒子)・液体(水)・気体(空気)の三つが適度な割合で存在していて、根は土の粒子のすき間にある空気から酸素を得ています。

ところが水を与えすぎると、この空気のすき間が水で埋まってしまいます。土が常に水浸しの状態では、根のまわりから酸素がなくなります。酸素のない環境に置かれた根の細胞は、呼吸ができなくなり、やがて細胞が窒息し機能を失っていきます。これがいわゆる根腐れの正体です。

そして根腐れが起きた植物がどうなるかというと――水分も栄養素も吸収できなくなり、結果として「水不足と同じ症状」が現れます。葉が萎れ、黄化し、枯れていく。水はたっぷりあるのに、なぜか萎れている、という状況は、この根腐れのサインである可能性があります。

水がない、でも多すぎてもいけない。この根腐れのメカニズムは、次のセクションで見ていく「風通し」――特に根の通気性という話に、そのままつながっていきます。

風通しがないと、なぜ枯れるのか


風通しは、光と水に比べると、なんとなく「病気になりやすくなる」くらいのイメージで、重要性が実感しにくい条件かもしれません。ところがこの風通しは、植物の地上部と地下部の両方に深く関わっています。

地上部の風通し――蒸散を動かす「ポンプ」

植物の葉は蒸散によって水分を水蒸気として放出しています。この蒸散は、単なる「水の排出」ではありません。実は、根から水を吸い上げるための原動力になっています。

仕組みはこうです。
葉の気孔から水蒸気が出ていくと、葉の細胞の水分濃度が下がります。するとその不足を補うために、茎の道管から水が引き上げられ、さらにその引力が根まで伝わり、根が土壌から水を吸収する――この連鎖を凝集力・張力説(コヘージョン・テンション説)と呼びます。蒸散が止まると、この「吸い上げポンプ」も止まります。水も、溶けた栄養素も、上へ届かなくなるのです。

ここで風通しが関係してきます。気孔から出た水蒸気は、葉の周囲の空気が湿度で飽和してしまうと、それ以上蒸散できなくなります。風があれば周囲の湿った空気が入れ替わり、蒸散が継続されますが、風通しが悪い環境では、この空気の入れ替えが起きず、蒸散が滞ります。蒸散が滞れば、水と栄養素の輸送は滞ります。
このようにして、植物の生理的なポンプが、弱まっていくわけです。

私たちも、夏場、湿度が高く、風のない日には汗が揮発せず、体内に熱がこもって熱中症になりやすくなってしまいます。原理はそれに似ているかもしれません。

風通しと病害の関係

風通しの悪さが病害につながることは、経験的に知っている方も多いと思います。その理由も、湿度の話に直結しています。

灰色かび病(ボトリチス菌)や、うどんこ病の原因菌といった代表的な植物病原菌の多くは、高湿度の環境で急激に増殖します。風通しが悪く葉の周囲に湿った空気が滞留した状態は、これらの病原菌にとって格好の条件です。また、葉が濡れた状態が長く続くこと自体、感染リスクを高めます。

農業の現場でも、ハウス栽培における換気は病害管理の基本として重視されています。農薬に頼る前に、まず風通しを確保する、というのはプロの感覚でもあるのです。

地下部の風通し――根も呼吸している

ここが、この記事でもっとも強調したいポイントです。

「風通し」というと地上部の話だと思われがちですが、根も通気性を必要としています。根の細胞もまた生きた細胞であり、エネルギーを得るために絶えず呼吸しています。

そしてその呼吸は、私たち人間と同じで酸素を必要とする呼吸です。

土の三相と根の呼吸

土壌学では、土壌を三つの相で考えます。土の粒子などからなる固相、水からなる液相、空気からなる気相の三つです。これを土壌三相なんて言ったりします。
健全な土壌では、この三相がおおむねバランスよく存在しています。一般的な目安として、固相が約50%、液相と気相がそれぞれ約25%ずつとされており、根は液相から水と栄養素を、気相から酸素を得ています。

問題が起きるのは、この気相が失われたときです。

水のやりすぎや、粘土質で排水性の悪い土では、気相の空間が水で埋まってしまいます。根のまわりから酸素が失われ、土壌が嫌気的な状態(酸素のない状態)になります。すると根の細胞は有酸素呼吸ができなくなり、代わりにエネルギーを確保するための緊急手段として嫌気呼吸(発酵)を行います。この過程でエタノールや乳酸などが生成されますが、これらは細胞に対して毒性を持ち、根の組織を内側から傷めていきます。

さらに嫌気的な環境では、フィトフトラ(疫病菌)などの嫌気性の病原菌が繁殖しやすくなります。これが根腐れの複合的なメカニズムです。酸欠による細胞死と、病原菌による感染が同時に進行するため、根腐れは進むのが早く、気づいたときには手遅れというケースも少なくありません。

土の物理性という視点

このことは、土選びや土づくりの重要性にも直結します。園芸でよく「水はけのよい土を」と言われるのは、単に根腐れを防ぐという話にとどまらず、土の気相を確保して根の呼吸を維持するためでもあります。市販の培養土にパーライトや軽石を混ぜるのも、固相の粒子を粗くすることで気相の割合を高め、通気性を上げるための工夫です。

また、鉢植えで土が長年使い続けられると、粒子が崩れて団粒構造が失われ、土が詰まった状態になっていきます。根詰まりや土の劣化が植物の調子を落とす一因も、この気相の喪失にあります。定期的な植え替えや用土の更新が推奨されるのは、こういう理由からです。

あと、水やりの際に、「鉢底から水が出るまでたっぷりと」と書かれていることが多いと思うのですが、これも、一つは植物の根にしっかり水分を行き渡らせるためもあるのですが、一番は、土壌中の気相の空気の入れ替えを目的としていたりします。根が呼吸したあとは二酸化炭素が溜まっています。そして、植木鉢内では、水やりの時しかその二酸化炭素を入れ替えることができないのです。


光も水も、行き詰まると「根の問題」に帰着することが多いです。そして根の問題を語るとき、必ずといっていいほど「通気性」が出てきます。風通しという条件が、地上と地下をつなぐ共通のテーマになっていることが、ここまでで見えてきたと思います。

三要素はつながっている


ここまで、光・水・風通しをそれぞれ個別に見てきましたが、実際の植物栽培の場では、これらは完全に独立して作用しているわけではありません。三つは互いに影響し合いながら、植物の生理状態を複合的に決定しています。
このセクションでは、その「つながり」を整理した上で、「うまく育たない」原因をどう見極めるか、という実践的な話に着地させたいと思います。

三要素は連動している

まず、光と水のつながりから見てみます。

光が強いと、光合成が活発になります。すると葉の温度が上昇し、蒸散量も増えます。蒸散が増えれば、根からの水の吸い上げも多くなります。つまり、光が強い環境では水の消費量も増えるということです。
「日当たりのいい場所に置いたら、急に水切れしやすくなった」という経験がある方は、この連動がそのまま現れたケースです。

次に、水と風通しのつながりです。
蒸散は気孔周囲の空気が入れ替わることで維持されます。風通しが悪ければ蒸散が滞り、水と栄養素の輸送も鈍くなります。また土壌側では、排水性と通気性はほぼ表裏一体の関係にあり、水はけの良し悪しが気相の確保に直結しています。水の管理と風通しは、地上でも地下でも切り離せないわけです。

光と風通しにも直接的なつながりがあります。光が強いほど葉の温度が上がり、蒸散が活発になります。蒸散が活発になるほど、気孔まわりの空気が水蒸気で飽和しやすくなります。つまり光が強い環境ほど、蒸散を維持するための風通しがより重要になるということです。日当たりの良い場所に置いた植物が、風通しの悪さによって意外なほど早くダメージを受けるのは、この連動が背景にあります。

このように、三要素は常に連動しています。一つを変えれば、他の二つにも影響が波及する。植物栽培を「立体的に見る」とは、この連動を意識することでもあります。

なぜ原因の特定が難しいのか

「ちゃんと水もやっているし、日当たりもいいはずなのに、なぜか元気がない」。こういう状況が起きやすいのは、三要素が複合的に絡み合っているからです。

たとえば、次のようなシナリオを考えてみてください。

日当たりの良い南向きのベランダで植物を育てているとします。光の条件は申し分ない。水もこまめに与えている。でも、なぜか葉がしおれて元気がない――。

原因として考えられるのは、たとえばこういうことです。
日当たりが強く蒸散が活発なため、水の消費量が多くなり水不足に陥っている。
あるいはベランダの壁際で風通しが悪く、葉の周囲の湿度が飽和して蒸散が滞り、根からの水と栄養素の輸送が鈍くなっている。
または、「しおれているから水が足りない」と判断してこまめに水を与えた結果、土の気相が失われて根が酸欠になっている。

どれも、一つの要素だけを見ていると見逃してしまう原因です。しかし三要素の連動を知っていると、「光は問題なさそうだから、水か風通しの側で何か起きているかもしれない」という仮説が立てられます。

診断の視点――どれが欠けているかを見極めるヒント

では実際に植物の調子が悪いとき、どこから考えればいいのか。
厳密な診断は難しいですが、症状からある程度の仮説を立てることはできます。

光の不足が疑われるサインとしては、茎の節間が伸びてひょろひょろになる徒長、葉の色が薄くなる黄化(特に下葉から)、葉が光の方向へ過度に傾くといった症状が挙げられます。

水に関するサインは、大きく二方向に分かれます。水不足の場合は、葉がしおれる・葉の縁から枯れ込む・土が極端に乾いているといった症状。水過多(根腐れ)の場合は、土が常に湿っているのに葉がしおれる、根が茶色く軟化している、土から発酵臭がするといった症状が出ます。萎れているからといって、すぐに水を与えるのが正解とは限らない、というのはこのためです。

風通しに関するサインは、地上部では葉に白い粉がついたり(うどんこ病)、灰色のカビが生えたり(灰色かび病)といった病害の多発として現れることが多いです。地下部では、根腐れが繰り返す・土の表面がなかなか乾かない・植え替え時に根が土にびっしり張り詰めて空気の余地がない、といったことで気づくケースが多いです。

ただし、これらのサインは必ずしも一つの原因だけを示しているわけではありません。複数の要素が絡んでいることも多いです。大切なのは、「原因はこれに違いない」と決めつけるより、「どの要素が崩れているか」を順番に確かめていく姿勢です。

まとめ

光・水・風通し。
この三つを軸に、植物が枯れる理由を見てきました。

光がなければ、エネルギーの生産が消費に追いつかなくなる。
水がなければ、光合成も栄養の輸送も体の維持もできなくなる。
風通しがなければ、地上では蒸散が滞り、地下では根が酸欠に陥る。
それぞれの「なぜ」には、植物生理学と土壌学が積み上げてきた明確な理由があります。

そしてこの三つは独立しているのではなく、互いに影響し合いながら植物の生死を左右しています。
だからこそ、枯れてしまったときに、「結局、何がいけなかったのかわからない――。」という状態がやってきます。
原因が一つではないため、一つだけを見ていると見逃してしまうのです。

ただ、難しく考えすぎる必要はありません。次に植物の調子が悪いと感じたとき、「光・水・風通しのどれかが崩れていないか」という疑問を持つだけで、見え方はずいぶん変わるはずです。
「なんとなく元気がない」が「おそらくこれが原因だ」という仮説に変わる。その一歩が、植物を枯らしてしまう前に踏み出せるかどうかの分かれ目になることも、少なくないと思います。

園芸の楽しさは、植物を「なんとなく」から「なるほど」で見られるようになっていく過程にもあると、わたくしは思っています。

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