2025年7月– date –
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気まずい空気が、こんなに疲れるのはなぜか──社会脳が引き起こすストレスの正体
はたらくときのまなざし
ある日の昼休み、食堂でたまたまあまり話さないような同僚と二人きりになったとします。話しかけようとしても言葉が浮かばず、沈黙が数秒続く。やり過ごしてから席を立ったあと、なんとなく午後の仕事に集中できない。あるいは、職場でちょっとした行き違いがあったあと、その人と廊下ですれ違う瞬間のあの重さ。距離を測りながら、表情を作りながら、内心では「どう振る舞えばいいんだろう」とぐるぐる考えてしまう。——気まずい空気。それ自体は「大したことではない」出来事のはずです。それなのに、たったそれ... -
音読は「読むだけ」で終わらない|脳と心を整える、大人のための音読習慣
整える暮らしの断片
文章を声に出して読む。私たちは、いつ頃からこの習慣から遠ざかってしまったのでしょうか。恐らく多くの人にとって、音読は小学校の国語の授業で終わっています。教科書を一文ずつ順番に読んでいくあの時間。先生に当てられると緊張して、どこを読むのかわからなくなった記憶がある方もいるかもしれません。大人になってからは、黙って読むのが「普通の読書」になり、声に出すことは特別な理由がない限りしないものになっていったのではないでしょうか。ところが、脳科学や認知心理学の観点から見ると、音読とい... -
自分を休ませることに罪悪感がある|セルフコンパッションから読み解く”自分への接し方”
整える暮らしの断片
「今日くらい、早く帰ってもいいかな」と思ったのに、結局いつもと同じ時間まで残業してしまった。休日に何もせず過ごしたあと、夕方になって「何か生産的なことをすればよかった⋯」と気持ちが沈む。体調が優れないのに、「この程度で休むのは甘えじゃないか」と自分に言い聞かせてしまう。――自分を休ませたい(休みたい)のに、休ませる(休む)と罪悪感がある。そんな感覚に心当たりのある方は、少なくないのではないでしょうか。この罪悪感は、性格や意志の弱さから来ているわけではありません。心理学の研究が... -
学びが変わるのは内容の質だけじゃない──画面サイズ・再生速度と理解度の関係を科学的に読み解く
調べる・記録する・伝える
学びの成果を左右するのは、教わる内容や教材の質だけでしょうか。実は、「どんな環境で学ぶか」も、理解力や記憶の定着に大きな影響を及ぼします。たとえば、スマートフォンの小さな画面で動画を視聴したときや、倍速で講義を流し聞きしたとき──思ったほど頭に残らなかった経験はありませんか?このような学習スタイルの違いが、認知負荷や情報処理にどう影響するのかは、心理学や教育工学の分野でも注目されています。本記事では、画面サイズと再生速度が理解度に与える影響を科学的な視点で明らかにし、どんな... -
感情をうまく言葉にできないのはなぜか──心理学と脳科学から読み解く”言語化”の仕組み
整える暮らしの断片
「なんとなくモヤモヤしているけれど、それが何なのかうまく言えない」「気持ちを伝えたいのに、ちょうどいい言葉が出てこない」こうした経験に心当たりありませんか?感情を言葉にできないとき、私たちはつい「自分は話すのが下手なんだ」「語彙力が足りないのかもしれない」と考えてしまいがちです。ですが、話の上手さや語彙の多さだけで片づけられるほど、この現象は単純ではありません。感情がうまく言葉にならない背景には、脳が感情を処理する仕組みや、その人がたどってきた経験、情報の受け取り方の傾向... -
小さな”できた”が自信になる理由──ネガティビティ・バイアスと自己効力感の科学
整える暮らしの断片
「またダメだった」「どうして自分はこうなんだろう」──ふとした瞬間に、そんな声が頭の中を巡ることはありませんか?仕事でちょっとしたミスをしたとき。周囲と自分を比べてしまったとき。やろうと思っていたことに手をつけられなかった日の夜。思い当たる場面は、きっと一つや二つでは済まないはずです。ですが、その「ダメだ」という感覚は、本当にあなた自身の能力や性格を正確に映し出しているのでしょうか。実は、私たちの脳には「うまくいったこと」よりも「うまくいかなかったこと」のほうを強く記憶に刻... -
目の前のことを丁寧に。わたしたちがどこかで落としてしまった時間の話
整える暮らしの断片
食事の途中で、スマホに手が伸びた。歩きながら、頭の中は明日の仕事のことでいっぱいだった。話しかけられたとき、返事をしながら通知を確認していた。そういう瞬間を、一日に何度繰り返しているでしょうか。「何かをしながら」が当たり前になった暮らしの中で、目の前の一つのことに向き合う時間は、気づかないうちに後回しになっています。失ったという意識もないまま、いつのまにか手放してしまった感覚。そういうものが、この時代の暮らしの中に確かにあります。この記事では、なぜ「目の前のことを丁寧に」... -
エアコンがあるのに寝苦しい──それは設定温度の問題ではないのかも?
整える暮らしの断片
冷房をつけているのに、快適に眠れない⋯。設定温度を下げてみても、タイマーを延ばしてみても、何かが違うまま朝を迎えてしまう。そういう経験が続くと、「自分に合う温度がわからない⋯」ともやもやします。でも、原因は設定温度ではないかもしれません。衛生工学や建築環境工学の分野では、人が室内環境を「快適」と感じるかどうかは、温度だけでなく、湿度・気流・放射温度など複数の要素の組み合わせによって決まると定義されています。夏の夜の寝苦しさも、この組み合わせのどこかがずれているときに起きます... -
サウナと運動、出ている汗は同じなのに体への影響が違うのはなぜか
整える暮らしの断片
サウナでたっぷり汗をかいた日と、ジョギングで汗をかいた日。どちらも同じようにシャツがぐっしょり濡れているのに、体の感覚がまるで違う——。そういった経験はありませんでしょうか。同じ「汗をかいた」なのに、体の反応が違うのはなぜなのか。先に結論を言えば、汗そのものに違いはありません。どの場面でも汗を出しているのは同じエクリン汗腺で、目的も体温を下げることで共通しています。では何が違うのかというと、汗をかいている「あいだ」に、体の中で起きていることが違うのです。この記事では、同じ「... -
スマホに疲れた脳に効く?「平成初期の夏休み」がくれる、現代人のための“余白時間”のすすめ
整える暮らしの断片
ふと思ったんです。常に情報にさらされて脳が休まらない私たち。非効率だと思えていた無駄なことこそ、現代には実は必要なのかもしれないな…と。スマホを持っていなかった子どものころのほうが、なんとなくよく眠れていた気がする。夏休みの午後のあの感覚——セミの声を聞きながらぼんやりと過ごしたあの時間は、今はどこへ行ってしまったのだろう、と。現代の私たちは、たしかに休んでいます。夜は寝ていますし、週末には休日もあります。それでも「休んでいるはずなのに、頭が休まらない」「何もしていないのに、...
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