小さな実践– tag –
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集中できないのには、理由がある。脳と環境が示すこと。
整える暮らしの断片
「今日こそ集中しよう」と決めて机に向かったのに、気がつけばスマートフォンを手に取っていた。やることはわかっているのに手が動かない。それどころか、集中できている人と自分のあいだに、何か根本的な違いがあるような気がしてしまう。こうした経験を「自分の意志が弱い」という言葉で片づけてきた人は多いはずです。でも、集中できないことには、意志や性格とはまったく別の次元で説明できる理由があります。脳の注意システムがどう動くか、環境がどのように認知に影響するか——そういった仕組みを知ることで... -
人といると、なぜこんなに消耗するのか──空気を読みすぎる人の脳と神経の話
整える暮らしの断片
会話が終わって、ひとりになった。ようやく落ち着けると思ったのに、頭の中ではさっきの会話がまだ動いています。「あの発言、場の雰囲気を壊してなかっただろうか」「笑ってくれたけど、本当に笑っていたのだろうか」「もう少し早く話題を変えるべきだったか」。帰宅してからも、布団に入ってからも、再生がはじまる。誰かといる間にエネルギーを使うのは当然としても、その後もずっと消耗が続く——。ひとりになったのに気が抜けないし、疲れているはずなのに眠れない。そういう経験に心当たりがある方は、少なく... -
“気をつければ防げた”は本当か──ヒューマンエラーとマインドフルネスの意外な関係
はたらくときのまなざし
「なぜあんな簡単なミスをするんだろう」──他者に対してそう思ったことはありませんか?あるいは、「気をつけていたのに、またやってしまった」と、自分自身に呆れた経験はないでしょうか。職場でミスや事故が起きると、私たちはほぼ反射的に「誰が悪かったのか」「なぜ気をつけなかったのか」という方向に思考が向かいます。これは日本の職場に限った話ではなく、あらゆる組織に共通して見られる傾向です。私はかつて医薬品・化粧品の工場で、品質管理や品質保証の業務に携わっていました。厳格なGMP(医薬品製造... -
何が違うのか、つかめないまま終わる──空気を読み違える人の認知と観察の話
整える暮らしの断片
笑いながら話していたはずなのに、気づくとその場が少し冷えていた。会話は続いているし、誰かが怒っているわけでもない。⋯でも何かが変わった気がする。そしてその「何か」が最後までわからないまま、その日は終わった。こういう経験が繰り返されると、やがて「自分は空気が読めないんだ」という感覚にたどり着くことがあります。何を直せばいいかを考えようとする前に、「どうせまた同じことをやる」という漠然とした不安が出始めて、気が付けば、人と会うこと自体が億劫になっていく。「空気を読むとは何か?」... -
読んだはずなのに、思い出せない。記憶と想起の話
調べる・記録する・伝える
テキストを何度も読み返した。大事だと思ったところには線も引いた。それなのに、いざ試験の本番や、職場で誰かに説明しなければならない場面になると、内容がどこかに消えてしまっている。そういう経験が、一度くらいはあるのではないでしょうか?私はと言いますと、一度と言わず何度もあります。プレゼンのときなんかは顕著にありましたね⋯。そんなとき、「私は記憶力が悪い」と結論づけてしまいがちですが、実はこの現象には、記憶の仕組みそのものが関係しています。読むという行為と、思い出すという行為は、... -
植物栽培の基本を植物生理学と土壌学の視点で見てみる
整える暮らしの断片
植物を育てていると、なぜかうまく育たないという経験をしたことがある方は多いと思います。あるいは、しっかりと本やネットに書いてある通りにやったのに、枯れてしまった。なんてことも。結局、何がいけなかったのかわからない――。今回は、かれこれ園芸歴15年以上のわたくしが、植物生理学と土壌学の知識を軸に経験を交えながら、そういったお悩みを解決できるかもしれない記事を書いていきます。あまり触れられない植物栽培の基本のなかにある原理原則を知ることで、植物栽培を立体的に見られるようになり、園... -
落ち込みには、意味があった──気分が冴えないとき、体が守ろうとしているもの
整える暮らしの断片
「なんだか気分が冴えない」と気づく瞬間は、どんなときですか。朝、目が覚めてもどこか気が重たい。やらなければいけないことはあるのに、気力が湧いてこない。理由がはっきりしていればまだいいけれど、「なんとなく」としか言いようのない落ち込みが続いているとき、多くの人はまずこう考えます。「自分がおかしいのだろうか」「もっと前向きにならなければ」と。でも、立ち止まって考えてみると、落ち込みを「なくすべき不具合」として扱うことが、本当に正しい向き合い方なのかどうか、少し疑問が残ります。... -
書くことの驚くべき効果——脳科学が明かす、手書きが思考を変える理由
調べる・記録する・伝える
キーボードで文字を打つことが当たり前になったいま、ペンを手に取って何かを書く機会は確実に減っています。会議のメモもスマートフォン、アイデアの記録もデジタルノート、日々の予定管理もアプリが担う。その便利さを否定するつもりはありません。ただ、「手書きのほうがなんとなく頭に入る気がする」「手帳に書いた予定は忘れにくい」という感覚を持ったことはないでしょうか。学校でノートを手書きしていたころのほうが内容をよく覚えていた、という記憶を持つ方もいるかもしれません。その感覚は、気のせい... -
その練習が上達の邪魔をしていることがある──脳が上達を止める仕組み
調べる・記録する・伝える
「続けているのに、なぜか上手くならない。」そう感じたことは、一度や二度ではないかもしれません。文章を毎日書いているのに、伝わり方は変わらない。楽器を何年も練習しているのに、あるところから先に進めない。語学を学び続けているのに、会話になると言葉が出てこない。そういうとき、多くの人は「自分の努力が足りないのではないか」「才能がないのではないか」という結論に向かってしまいます。ですが、練習の量や意欲の問題ではない可能性があります。脳科学と認知心理学の研究が積み重ねてきた知見によ... -
なぜ月曜の朝はこんなにも重いのか──仕事への拒否感を、心理学と生理学から読み解く
はたらくときのまなざし
月曜の朝、目覚まし時計が鳴る前から、なんとなく気持ちが重い。布団の中で「今日、仕事か⋯」と思い、ため息が出る。そういう朝が続いているとしたら、それはあなたの根性や気持ちの問題ではないかもしれません。とりわけ、「仕事に行きたくない」という感覚は多くの人が経験します。しかし、それを「甘えだ」「気合が足りない」と片づけてしまうと、身体と心が出している大切なサインを見落としてしまうことがあります。心理学や生理学の分野では、この感覚の背景にある仕組みが少しずつ明らかになってきています...
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