科学の入口– tag –
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「香りで不安がやわらぐ」は本当か?リナロールと脳の抗不安回路のお話
調べる・記録する・伝える
ラベンダーの香りを嗅ぐと気持ちが落ち着く。アロマディフューザーを寝室に置くようになってから、寝つきがよくなった気がする。そんな実感がある一方で、「でも、それって気のせいなんじゃないの?」と思ったり。実際、「アロマの効果はプラセボにすぎない」「リラックスした気になっているだけ」という声は少なくありません。ラベンダーの香り=リラックスというイメージが広く浸透しているからこそ、その思い込みが効いているだけではないのかという疑問は、ごく自然なものです。以前、別の記事で、ラベンダー... -
「人は必要なときに、必要な人に出会う」を考察してみる——偶然と意味づけの間にあるもの
わたしのなかの遠い場所
人生を振り返ると、「あの出会いがあったから」と思う場面が、誰にでも一つや二つあるのだと思います。落ち込んでいたあの時期に声をかけてくれた人。大きな決断を前にして出会った懐かしい人。あるいは、これから出会うかも知れない誰か。『「人は必要なときに、必要な人に出会う」ようにできている。』とは良く聞くけれども、それは果たして偶然なのでしょうか。それとも、必然なのでしょうか。似たようなものだと、おみくじに書かれている言葉も、「必要なときに、必要な言葉がある」ような気もします。この記... -
完成された不完全な世界
わたしのなかの遠い場所
世の中は思っている以上に歪だと思う。それゆえに、美しいのではないか、とも。 子どもの頃、世界は完璧に見えていた 子どもの頃、世界はどこか完成されたものに見えていました。商店街を歩けば、店員さんは笑顔で立っていて、商品はきれいに整然と並んでいる。道は真っ直ぐに伸びていて、信号はきちんと赤と青を繰り返す。橋は川をまたぎ、電車は時刻通りにやってくる。病院に行けば、白衣を着た人たちが難しいことを知っていて、学校の先生は答えを知っている。世界というものは、誰かによってあらかじめ設計さ... -
何を食べても満たされなかった日、果物でぴたりと止まった──体験から考える仮説
整える暮らしの断片
低気圧が近づく日。または、花粉や黄砂、ほこりに体が敏感に反応している時期かもしれない。そういう日に限って、何かを食べたくて食べたくてどうしようもなくなることがあります。クッキーをひとつ食べる。パンをちぎる。またクッキーに手が伸びる。カロリーとしては十分なはずなのに、何かがまったく満たされないまま、食べるという動作だけが続いていく。我慢しようとすればするほど、また何かを探して冷蔵庫を開けたり、戸棚を開けたり。そういう感覚に心当たりはありませんか?私自身、まさにそういう状態に... -
インターホンや電話の音が苦手なのはなぜか──”無視できない”ように設計された音と脳の話
整える暮らしの断片
インターホンが鳴るたびに、身体がびくっとしてしまう。電話の着信音が聞こえた瞬間、胸のあたりが固まる感じがする。音が止んでからも、しばらくのあいだ心拍が落ち着かない。「これくらいで動揺するなんて、自分は気にしすぎだろうか⋯」と思ったことはないでしょうか?実のところ、そうとは言い切れません。インターホンや電話の着信音が強く不快に感じられるのは、あなたの感覚が過敏なせいでも、気にしすぎているせいでもありません。その音は、あなたを無視させないよう、意図的に設計されたものです。脳が反... -
完璧主義はバグじゃなくて、脳が正直に働いている結果だった
はたらくときのまなざし
「完璧主義はよくない」とわかっている。完了主義のほうが成果も出やすいと、どこかで読んだことがある。それでも「もう少しだけ」が終わらない。仕事でも、創作でも、日常のちょっとした決断でも。区切りをつけようとするたびに、また気になるところが見つかってしまう。そんな経験に、心当たりのある方は多いのではないでしょうか。完璧主義はよく、「性格の問題」や「こだわりが強すぎる」という言葉で語られます。でも、神経科学や心理学の研究が照らしているのは、少し違う景色です。完璧主義的な行動パター... -
嫌な記憶は残り、夢はすぐ消える──眠っている間に脳がしていること
調べる・記録する・伝える
昨日の会議で誰かに言われた一言が、なぜか翌朝になっても頭に浮かびます。一方で、目が覚めた瞬間に「いい夢だった」と感じても、数分後にはその内容がどこかへ消えています。この非対称さは、意志や記憶力の問題ではありません。眠っている間に脳が行っている「選別」の仕組みが、そのまま表れているだけなのです。睡眠と記憶の関係というと、「寝る前に暗記すると定着しやすい」という学習法の話になりがちです。しかしそれは、脳が夜にやっていることのごく一部に過ぎません。脳は眠りの中で、記憶を固定する... -
花粉の季節に身体が疲弊するのは、免疫が戦っているからだった──眠気と肌荒れを、ひとつながりで読み解く
整える暮らしの断片
くしゃみや鼻水だけではなく、花粉の季節になるといつもより身体が重い、眠気がひどい、肌が荒れてスキンケアをしても追いつかない──そんな経験をお持ちの方は少なくないと思います。「春だから仕方ない」「体質だから」と受け流してきた方も多いかもしれませんが、これらの症状には、それぞれに明確なメカニズムがあります。しかも、眠気と肌荒れは別々の原因から来ているのではなく、免疫系がフル稼働している状態というひとつの源から、枝分かれするように生じている可能性があります。この記事では、花粉症に... -
褒め言葉が素直に受け取れない。その居心地の悪さの正体を心理学に聞いてみた
はたらくときのまなざし
「上手だね!」「すごいじゃないですか!」「さすが!」──そう言われたとき、あなたはどう返しますか。「いえいえ、そんなことないです」と即座に否定する。「たまたまです」「運がよかっただけで」と偶然のせいにする。「ありがとう」と口では言いながら、胸の中にどこか落ち着かない感覚が残る。謙遜するのはかえって良くないという情報もどこかで見たことがあるような気もするけれども⋯。褒められているのに、嬉しさよりも先に居心地の悪さが来る。そんな経験を持つ人は、決して少なくないと思います。むしろ、... -
雨の日に作業が進む感覚は、気のせいではなかった
整える暮らしの断片
雨が降り始めると、なんとなく机に向かいやすくなる。窓の外の音が気にならなくなって、手が止まらなくなる感覚。——晴れの日よりも、雨の日の方が仕事や勉強がはかどったりする。そういった感覚はありませんか?「気分の問題だろう」と片付けてきた人も多いかもしれません。でも実際には、雨音そのものに集中を支える性質があることが、複数の研究から示されています。雨の日に感じる「なんとなく作業が進む感覚」は、気分や意志とは別のところで、音が環境を整えてくれている結果です。この記事では、雨音がどの...
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