情報とのつきあい方– tag –
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検索しても出会えないものがある——本屋と図書館が持つ「偶然性」という価値
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「調べたいことがある」と思ったとき、あなたはまずどこへ向かいますか。多くの人は、検索エンジンを開くでしょう。あるいはAIに問いかけるかもしれません。それは正しい判断です。知りたいことを素早く、的確に届けてくれる点では、どんな手段もインターネットには敵わない。私もそう思います。ただ、最近こんなことを考えるようになりました。「知りたいこと」を調べることはできても、「知りたいとも思っていなかったこと」に出会う方法を、私たちは少しずつ失いつつあるのではないか、と。この記事では、司書... -
散らかった部屋は本当に創造性を高めるのか─ 研究からわかる「環境と思考」の関係
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部屋が散らかっていると、どこか落ち着かない。片付けなければ集中できない気がする。そんな感覚を覚えたことがある人は多いはずです。一方で、きれいに整えた机に向かっても、なぜか考えがうまくまとまらないと感じる場面もあります。近年、心理学研究の紹介記事などで、散らかった部屋のほうが創造性を高める可能性があるという話が取り上げられることがあります。偏見なのかもしれませんが、確かに思い浮かぶ研究者や科学者の机の上は割と散らかっている印象があったりしますね。ただ、ここで本当に考えるべき... -
「なるほど」と言うだけで理解が深まる? 頷きと相槌が生む“認知の効果”
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「なるほど」という言葉が口から出るのは、いつも同じような瞬間です。説明を聞いていて何かがつながったとき。疑問がほどけたとき。「あ、そういう仕組みだったのか」という感覚とともに、気づくと声に出ています。頷きも同じです。話を聞きながら、意識せずに首が動く。誰かに見せるためではなく、内側の何かに反応するように。これらはコミュニケーションのための動作として語られることが多いですが、視点を変えると別の側面が見えてきます。頷きや「なるほど」は、「自分の認知がどう動いているか」を映す鏡... -
計画が多いほど旅は遠ざかる──決断疲労と偶然性から読み解く、旅のかたち
整える暮らしの断片
旅行の計画を立て始めると、気づけば数時間が経っています。ホテルを比較して、移動手段を調べて、行きたい場所をリストアップして。やることが次々と出てきて、終わる頃にはどこかぐったりしている。「旅行を楽しみにしていたはずなのに」と思いながら、それでも計画を続ける。そんな感覚に、覚えがあるでしょうか。これは準備が苦手だからでも、体力が落ちたからでもありません。計画を立てるという行為そのものが、脳にとってかなりの負担を要するものだからです。そしてそれとは逆に、旅先で偶然に出会ったも... -
なぜ、我々はAIに苛立ってしまうのか?
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ふだんの仕事や暮らしのなかで、AIを使う場面が増えてきました。それどころか、今やないと困る、なんて方もいるかもしれません。調べもの、文章の整理、アイデア出し──たしかに便利です。しかし、しばしば苛立ちを感じることはないでしょうか?原因が明らかなものから理由のわからないものまで、様々な苛立ちを…。「なんでそんなこと言うの?」「ちがう、そうじゃない」「全然伝わらない…」思わずモニター越しにぼやきたくなる あの瞬間。じわじわと積もっていって、やがて作業を中断する。「少し頭を冷やそう。」... -
クロノタイプ診断からわかること──朝型・夜型は意志の問題ではなく、体の設計だった
はたらくときのまなざし
朝、目覚まし時計が鳴るたびに「もう朝か⋯」と思う。体はまだ眠りの中にあるのに、時計だけが正直に今日の一日を告げてくる。そういう朝を何度も繰り返しながら、「自分は朝が苦手な、意志の弱い人間なのだろうか」と感じてきた方はいませんでしょうか。あるいは逆に、夜になると不思議と頭が澄んでくる感覚があって、昼間の仕事よりも深夜のほうが集中できるのに、社会のリズムに合わせようとするたびに消耗していく、という経験をお持ちの方もいるかもしれません。こうした時間の得意・不得意は、努力や生活習慣... -
SNSの投資情報、どこまで信じていいのか──司書の視点で考える情報の見極め方
投資とわたしのペース
投資を始めると、情報の多さに圧倒される方は多いと思います。X(旧Twitter)やInstagram、YouTubeを開けば、銘柄の推薦や相場の見通し、「今が買い時」という言葉が次々と流れてきます。どれを参考にして、どれを流せばいいのか。最初はまったく見当がつかなかった、という方も少なくないはずです。かくいう私も、投資に関心を持ち始めたころは同じ感覚を持っていました。情報の量だけは山ほどあるのに、どれが本当のことを言っているのかがわからず、調べれば調べるほど、むしろ混乱が増していく感じがありまし... -
空気を読むとは何か|日本の“察し文化”からその本質を読み解く
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日常の中で「空気を読む」という言葉はよく耳にします。職場の会議で発言のタイミングをはかったり、友人との会話で「この話題、出して大丈夫かな」とふと考えたりすること。そういった場面は、誰にでも思い当たるのではないでしょうか?ただ、あらためて「空気を読むとはどういうことか」と考えると、意外とうまく言葉にできないものです。なんとなくその場の雰囲気を感じ取ること、というイメージはあっても、それ以上の説明が難しいと感じる方も多いと思います。この記事では、コミュニケーション論※や文化人類... -
自治会はなぜ存在するのか──義務でもないのに消えない制度の理由
まもるしくみ、つくるしくみ
自治会に加入している人も、していない人も、一度は頭をよぎったことがあるかもしれません。「そもそも自治会って、何のためにあるんだろう」と。加入は法律で定められた義務ではありません。強制力もなく、入らなくても罰則はありません。それでも全国各地に根付いていて、多くの地域で今も日常の一部として機能しています。回覧板が回り、清掃活動の案内が届き、防災訓練の日程が共有される。そういった自治会という組織の動きについては、加入していない人でも薄々感じているはずです。任意の組織なのに、なぜ... -
学びが変わるのは内容の質だけじゃない──画面サイズ・再生速度と理解度の関係を科学的に読み解く
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学びの成果を左右するのは、教わる内容や教材の質だけでしょうか。実は、「どんな環境で学ぶか」も、理解力や記憶の定着に大きな影響を及ぼします。たとえば、スマートフォンの小さな画面で動画を視聴したときや、倍速で講義を流し聞きしたとき──思ったほど頭に残らなかった経験はありませんか?このような学習スタイルの違いが、認知負荷や情報処理にどう影響するのかは、心理学や教育工学の分野でも注目されています。本記事では、画面サイズと再生速度が理解度に与える影響を科学的な視点で明らかにし、どんな...
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